5.2. 基本的なエネルギーの概念
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エネルギー保存の法則
仕事とは、物体をそれに対抗する力に対して動かす時になされる 言い換えると、仕事とは、そのままの状態では動くことのないものを動かすことであるといえる
e.g. ダイバーが飛び込み台から飛び込む
飛び込み台の階段を登っているとき
この場合、運動エネルギーは筋肉運動の形態をとる
ダイバーが飛び込み台の上にたどり着いたとき
物体のもつエネルギーで、ダムの水のように、位置によるエネルギーや、圧縮されたバネのように構造に由来するエネルギー
ダイバーが飛び込み台から水中に飛び込むとき
生命活動はある形のエネルギーを別の形のエネルギーへ変換することによって進行する
エントロピー
ダイバーが水にぶつかったとき、熱 heatに変換される 熱は原子や分子のランダムな動きによる運動エネルギーの一種
ダイバーの身体とその周囲の間に発生する摩擦は、空気中そして水中に熱を発生させる
エネルギーの変換時には必ずいくつかの熱の発生を伴う
熱の発生はエネルギーを消滅させることはないが、その有用性を弱めてしまう
熱は「完全利用」することが困難な、無秩序でランダムな分子運動によるエネルギー
システムのもつ無秩序さあるいはランダムさの尺度
エネルギーがその形を別の形に変えるとき、エントロピーは増大する
ダイバーが階段を登る、飛び込むときに、エントロピーが増大する
ダイバーのポテンシャルエネルギーは熱として周囲に失われるから
再び階段を登るときは、ダイバーは貯蔵されている食物エネルギーをさらに追加しなければならない
化学エネルギー
構成原子の配置によって発生する
生きている細胞と車のエンジンは、いずれもエネルギーを仕事に変換するための類似した機構を持っている
いずれの場合も、有機燃料をより低ネルギーの分子へ分解する
これによって、放出されるエネルギーを仕事に利用できるようにしている
たとえば、車のエンジンは酸素をガソリンと混ぜ、燃料の分子を分解して、爆発的な化学反応を起こしピストンを動かす 車のエンジンではエネルギーの約25%が車を動かす運動エネルギーに変換され、残りは熱になる
もしラジエーターやファンによって熱を待機中に分散しなければ、エンジンは溶けてしまう
車のエンジンと比較するとよりゆるやかで効率のよい「燃焼」
細胞呼吸はエネルギー放出を伴う燃料分子の化学分解であり、そのエネルギーの蓄積によって、細胞は仕事を行うことができる
食物エネルギーの約40%を筋肉収縮のような、有用な仕事に利用できる
一方、燃料物質の分解により放出されたエネルギーの60%は熱となる
この熱によって、ヒトや多くの動物は、周囲の温度が低くなった場合でも、体温を一定に保つことができる
熱エネルギーの産生は運動した後に、身体が熱くなる感覚からもわかる
発汗やその他の身体を冷やす機構は車のラジーエーター以上に過剰な熱を抑える役割を果たしている
食物のカロリー
1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量
1個のピーナッツのもつカロリー値は、それを水の入った容器の中で燃やし、水温の上昇を測ることによって計測することができる
カロリーは小さな単位なので、簡便法としてキロカロリ(kcal)を用いる
大文字のCalories(C)はkcalのこと
1個のピーナッツは約5kcalで、1kgの水の温度を5℃上げるのに十分な量であることが燃焼実験から示されている